ジンの歴史:18世紀ロンドンから現代クラフトジンまで

ジンの基礎知識

「ジンを楽しむなら、その歴史も少し知っておきたい」——そんなふうに感じる方も多いかもしれません。今日は、17世紀オランダから始まったジンの物語を、できるだけコンパクトに辿ってみます。

起源:17世紀オランダのジェネヴァ

ジンの原点は、17世紀オランダ にあります。ライデン大学の医師 フランシスクス・シルウィウス が、マラリア治療を目的にジュニパーベリーを蒸留酒に漬け込んだのが、最初のジン(当時の名前は「ジェネヴァ Jenever」)と言われています。

オランダ語の「ジュニパー(Jeneverbes)」が語源で、これが英語化されて「Gin」になりました。当時のジェネヴァはモルトワインを ベースにした、ウイスキーに近いお酒でした。

18世紀:英国への輸入と「ジン狂時代」

1689年、オランダの ウィリアム3世が英国王に即位。これを機にオランダの文化が英国に流れ込み、ジェネヴァも英国で広く親しまれるようになりました。

しかし大流行は、「ジン狂時代(Gin Craze)」 という難しい時代も生みました。1720年〜1750年代のロンドンでは、ジンが水より安く売られ、貧困層が酩酊状態で暮らす社会問題に発展したと伝えられています。当時の絵画 ウィリアム・ホガースの『ジン横丁』 が、その荒んだ街の様子を描いています。

これを受けて 1736年、英国政府は 酒税法(Gin Act) を制定 ——ジン蒸留業者に高額のライセンス料を課す試みでした。しかし密造を加速させる面もあり、ジンをめぐる問題はなかなか収まりませんでした。

19世紀:ロンドンドライの誕生

19世紀に 連続式蒸留器(カラム・スチル) が発明されると、ジン業界は大きな変化を迎えます。それまでの単式蒸留器(ポット・スチル)よりも純度の高い中性スピリッツが作れるようになり、リコリスや砂糖で甘みを補う必要のない、クリスタル・クリアなジン が誕生しました ——これが現代の ロンドンドライ・ジン の原型です。

タンカレー(1830年創業)、ビーフィーター(1820年創業)、ゴードン(1769年創業、近代化は19世紀)といった、現代も続く伝統銘柄が、この時代に確立されました。

19世紀末〜20世紀前半:英国海軍とジントニックの時代

英国海軍は マラリア対策のキニーネ をジンと一緒に飲む方法を生み出しました ——これが 「ジントニック」 の起源と言われています。インド駐留の英国将校の間で広まり、20世紀には世界中のバーで親しまれる一杯になりました。家では、ジンを多めの氷でやさしく割って、好みで柑橘を軽く添えると、ゆっくり楽しめます。

同時に マティーニ、ネグローニ、トム・コリンズ、ジン・フィズ といったクラシックな飲み方も次々と生まれ、ジンはお酒の世界で身近な存在になっていきました。

20世紀後半:ジンの停滞期

第二次世界大戦後、世界の酒類消費はウイスキー・ウォッカ・ラム・テキーラへとシフト。ジンは「古風なお酒」 という印象が広まり、新規蒸留所がほとんど生まれない時代が続きました。

1980〜90年代の英国では、新しいジン蒸留所が設立されることはあまりありませんでした。タンカレー・ビーフィーター・ゴードン・ボンベイサファイアの「ビッグ4」が市場の多くを占めていた時期です。

2009年:シップスミスとクラフトジンの広がり

転機となったのは 2009年。ロンドンの シップスミス が、約200年ぶり にロンドンでの新規蒸留ライセンスを取得しました ——これが「クラフトジン」の広がりの始まりです。

ヘンドリックス(1999年・スコットランド)、シタデル(フランス)、ボブズ(オランダ)、ジン マーレ(スペイン)など、新世代の蒸留所が次々と登場。「ボタニカルでジンを表現する」 という新しい考え方が広まり、ジンはふたたび世界の酒類市場で親しまれる存在になっていきます。

2010年代以降:ジャパニーズ・クラフトジンの台頭

2017年、サントリーが 「六(ROKU)」 を世界市場に投入。京都蒸溜所の 「季の美」 が世界の権威ある賞を獲得しました。「ジャパニーズ・クラフトジン」 という新ジャンルが、世界のジン文化の大切な一角を占めるようになります。

現在は、ジン マーレ(スペイン)、モンキー47(ドイツ)、フォーピラーズ(オーストラリア)、ザ・ボタニスト(スコットランド・アイラ)など、世界各地の「テロワール表現」 がジンというフォーマットで楽しめる、とても豊かな時代を迎えています。

まとめ

ジンの 350年の歴史は、「ヨーロッパの一角」から「世界各地」へ と広がっていく道のりでした。家のジン棚を眺めるとき、その背後にあるオランダ・英国・スコットランド・スペイン・日本などの物語を思い浮かべると、ジンの時間が一段と豊かになります。

次にバーに行ったとき、「これは何年代のスタイルですか?」と尋ねてみる ——そんな会話の入口になる歴史の知識を、家のジン棚でゆっくり育てていきたいですね。まずは一本、ソーダ割りで気軽に味わうところから始めてみてください。

ジンの世界を、家でも始めてみる

入門にぴったりのロンドンドライから、世界各地のクラフトジンまで。あなたの一本目を、楽天市場・Amazon で探してみてください。

※ 本リンクはアフィリエイト広告を含みます。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

※価格・在庫・度数等の情報は記事執筆時点(2026年5月)のものです。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。妊娠中・授乳期の飲酒は控えましょう。飲酒運転は絶対にやめましょう。本記事には Amazon アソシエイト / 楽天アフィリエイト等の広告リンクを含みます(PR)。

コメント

タイトルとURLをコピーしました