ジンの製法:単式・連続式・コールドコンパウンドの違いを徹底解説

ジンの基礎知識

ジンの背景には、多様な製法 があります。同じ「ジン」と呼ばれるお酒でも、作り方が違えば味わいも変わってきます。今日は、ジンの主要な製法を、その特徴と代表銘柄とともに整理してみます。家のジン棚を眺めるとき、「これはどう作られたのかな」という視点が加わると、ジンとの時間が少し深まります。

製法の大分類

ジンの製法は、大きく次の3つに分けられます:

  1. 蒸留法(Distilled Gin):ボタニカルをスピリッツに浸漬してから蒸留
  2. 蒸気注入法(Vapor Infusion):ボタニカルを蒸気で抽出
  3. コールドコンパウンド(Cold Compound):蒸留せず、浸漬のみで作る

1. 蒸留法(Distilled Gin)

概要

もっとも伝統的な製法です。中性スピリッツにボタニカルを浸漬してから、再度蒸留する やり方。

  • 浸漬時間:12時間〜100日(銘柄による)
  • 蒸留方法:銅製単式蒸留器(ポット・スチル)または連続式蒸留器
  • 代表銘柄:ビーフィーター(24時間浸漬)、シタデル、モンキー47(100日以上浸漬)

単式蒸留(Pot Still)

伝統的な蒸留器です。1バッチごとに区切られた蒸留 のため、味の調整がしやすいのが持ち味。一方で、生産量は限られます。

クラフトジンの多くが、単式蒸留器を使っています。「クラフト感」と「品質の安定」 を両立しやすい手法です。

連続式蒸留(Column Still)

19世紀に発明された量産型の蒸留器です。連続的に蒸留できる ため、大量生産に向いています。タンカレー、ボンベイ・サファイア、ゴードンといった大手ブランドの多くが、連続式蒸留を採用しています。

2. 蒸気注入法(Vapor Infusion)

概要

ボンベイ・サファイアが採用する独自の製法です。ボタニカルを直接スピリッツに浸漬せず、銅製のバスケットに入れて、スピリッツの蒸気がそこを通過する ことで香りを抽出します。

特徴

  • 「煮込み」過程がない → ボタニカルの繊細な香りが活きる
  • クリーンで華やかな仕上がり
  • 代表銘柄:ボンベイ・サファイア、ヘンドリックス(一部)

蒸気注入法のメリット

ボタニカルがスピリッツに直接触れないため、煮込みすぎによる「えぐみ」が出にくい のが特徴です。フローラルでクリアなジンに仕上がります。

3. コールドコンパウンド(Cold Compound)

概要

蒸留しない製法 です。ニュートラル・スピリッツに、ボタニカルを長期間浸漬し、その液体を濾過するだけ。

特徴

  • ボタニカルから色素が抽出される → 琥珀色のジンになることが多い
  • 未蒸留のため、ボタニカルの「生の質感」が残る
  • 代表銘柄:Bathtub Gin(Ableforth’s)、各種バスタブ系

バスタブジンの歴史

「バスタブジン」という名前は、1920年代のアメリカ禁酒法時代 に、自宅のバスタブで密造されたジンを語源にしています。蒸留器を持てない密造者が、ニュートラル・スピリッツにボタニカルを漬けるだけで作っていたのが起源とされています。

製法によって何が変わるか

蒸留法と蒸気注入法

両者の違いは、「ボタニカルの繊細さ」 にあります。蒸留法は、長時間の浸漬と高温の煮込みで、ボタニカルの全成分を引き出します ——力強く複雑な味わいに。蒸気注入法は、繊細な香り成分を中心に抽出します ——華やかでクリーンな味わいになります。

タンカレー(蒸留法)とボンベイ・サファイア(蒸気注入法)を飲み比べると、この違いがよくわかります。どちらもソーダ割り(ジン:ソーダ=1:3〜1:4、氷をたっぷり、好みで柑橘を軽く)でゆっくり味わうと、香りの出方の差を楽しめます。

蒸留法とコールドコンパウンド

両者の違いは、「クリアさ」と「ボタニカルの粗野な質感」。蒸留法はクリスタル・クリアな見た目なのに対し、コールドコンパウンドは琥珀色がかった、ボタニカル感の強い見た目になります。

ビーフィーター(蒸留法)と Bathtub Gin(コールドコンパウンド)を並べて見ると、その視覚的な違いがすぐにわかります。

樽熟成ジン:もうひとつの世界

これら3つの製法とは別に、「樽熟成ジン(Aged Gin)」 というカテゴリーもあります。蒸留後のジンを オーク樽で1〜10年熟成 させたものです:

  • 代表銘柄:Citadelle Reserve、Sipsmith VJOP(一部)、Bareksten Botanical Gin
  • 特徴:バニラやカラメルの香り、琥珀色、ウイスキー寄りの質感

樽熟成ジンは、EU規格の「ロンドンドライ・ジン」とは別のカテゴリーです。ジンとウイスキーの中間のような体験として、ジン愛好家の新しい楽しみ方として親しまれています。

製法を意識した家飲み

家のジン棚に 製法の違う4本 を並べて、飲み比べてみてください:

  • 蒸留法(単式蒸留):シップスミス
  • 蒸留法(連続式蒸留):タンカレー
  • 蒸気注入法:ボンベイ・サファイア
  • コールドコンパウンド:Bathtub Gin

それぞれをソーダ割りにして、氷をたっぷり、好みで柑橘を軽く添えて飲み比べると、同じ「ジン」と呼ばれるお酒の中に これほどの製法の幅がある ことを、舌でゆっくり感じられます。

まとめ

ジンの製法は、お酒の「魂」を作る工程 ともいえます。同じボタニカルでも、製法が違えば味わいが変わってくる ——これがジンの世界の奥深さです。

家のジン棚を眺めるとき、「これはどう作られたのかな」という視点を持つだけで、ジンとの付き合い方が少し深まります。お気に入りの一本を、ソーダ割りでゆっくり楽しんでみてください。

※価格・在庫・度数等の情報は記事執筆時点(2026年5月)のものです。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。妊娠中・授乳期の飲酒は控えましょう。飲酒運転は絶対にやめましょう。本記事には Amazon アソシエイト / 楽天アフィリエイト等の広告リンクを含みます(PR)。

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