ジンの世界には、もう一つ忘れられがちなジャンルがあります。「オールドトム(Old Tom)」。ロンドンドライよりも少し甘く、ジェネヴァよりもドライな、ジン進化史の中間地点に位置するスタイルです。19世紀のロンドンで広く親しまれ、20世紀には一度ほとんど姿を消しましたが、2000年代以降のクラフトジン復興の流れの中で、ふたたび見直されつつあります。
オールドトムとは何か
オールドトムは、18世紀後半から19世紀のジン の主流だったスタイルです。当時の蒸留技術では、ロンドンドライほどクリアなジンを作るのが難しく、リコリスや砂糖でわずかに甘みを添えたジンが好まれていました。
「オールドトム」 という名前の由来は、ロンドンのジン酒場にあった 猫の像(Old Tom) だと言われています。客は猫の口にお金を入れ、その下から店主がジンを注いで提供したという、密造時代の独特な販売方式から来ているそうです。
ロンドンドライよりも甘いけれど、リキュールほどには甘くない。マティーニの祖先 “マルティネス” や、19世紀の トム・コリンズ といったクラシックカクテルの原典になっているのが、このオールドトムジンです。
現代に蘇った5本のオールドトム
1. ヘイマンズ オールド トム(イギリス)
家族経営5代目のヘイマンズが、1860年代のレシピを復刻した一本。41.4%。マイルドな甘さとジュニパーのバランスが、当時のロンドンを思わせます。オールドトムをはじめて味わう方にも、やさしく寄り添ってくれる一本です。
2. ジェンセン オールド トム(イギリス・ロンドン)
ロンドン・バーモンジー地区の小規模蒸留所による一本。43%。リコリスとアンジェリカの土っぽい甘さが、現代的に再解釈されています。バーテンダーにも親しまれている、味わい深い銘柄です。
3. ジンクス オールドトム(イギリス)
クラフトの若い世代が作るオールドトム。40%。ストロベリーやベリー系のフレーバーが感じられる、現代的な解釈の一本です。
4. ハイウッド オールドトム(カナダ・アルバータ)
新世界からのオールドトム解釈。40%。カナダ産の小麦をベースにした、より柔らかな甘さが楽しめます。
5. 季の美 季の蕾(Ki No Tou)(日本・京都)
京都蒸溜所が、季の美のオールドトム解釈として作る希少な一本。54.5%。日本ならではのオールドトムで、和の素材と伝統がやさしく溶け合っています。
オールドトムをやさしく楽しむ
オールドトムを家に1本置いておくと、その個性をいろいろな飲み方でゆっくり味わえます。
まずおすすめしたいのが ソーダ割り。ジン:ソーダ=1:3〜1:4を目安に、氷をたっぷり入れて、好みで柑橘を軽く添えるだけ。オールドトムのほのかな甘みと香りが、炭酸とともにふんわり広がって、肩の力を抜いて楽しめます。食事に合わせたい日にも気軽な一杯です。
もう少し甘さを感じたい夜には、レモンの酸味とソーダを合わせたトム・コリンズ風の飲み方もよく合います。難しい計量にこだわらず、レモンを軽く搾ってソーダで割れば、19世紀ロンドンの夏の空気を、家でのんびり感じられます。
まとめ
オールドトムジンは、ロンドンドライやクラフトジンの世界に慣れた方が、次に出会うとうれしいスタイル です。ソーダ割りでゆっくり味わいながら、ジンの歴史200年に思いを馳せる。そんな静かな夜を、家に1本あるだけで楽しめます。
※価格・在庫・度数等の情報は記事執筆時点(2026年5月)のものです。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。妊娠中・授乳期の飲酒は控えましょう。飲酒運転は絶対にやめましょう。本記事には Amazon アソシエイト / 楽天アフィリエイト等の広告リンクを含みます(PR)。


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